ぱらりーそーしー日記

タイトルに特に意味はありません。子どもの造語がかわいかったので、タイトルに使いました。本、子育て、映画、旅行等。たまにしか投稿しませんが…

2020年のおもしろかった本 その1

2020年に読んだ本から印象に残ったものをご紹介します。
「今年読んだ」本であって、「今年出た」本ではありません。

 

 

文学賞メッタ斬り!

大森望氏と豊崎由美氏がラジオ(今はポッドキャスト)でやっている番組を書籍化したもの。芥川賞直木賞の候補作、選考委員やその選評をメッタ斬りして行きます。

メッタ斬りされてるのは主に選考委員や選評の方で、候補作については、厳しいことも言われるが、斬ってはいても「メッタ斬り」ではありません。いや、時にメッタ斬りにされている作家もあるかもしれません…

特に「大御所」作家の選考委員に対しては歯に絹着せぬ発言でメッタ斬りしてて、おもしろいです。

候補作の小説についてのコメントは勉強にもなります。「へえ、そういうとこを見てるんだな」とか。自分で読んだ本を人がどう読んでいるのか、たまには照らし返して見てみるのもいいでしょう。

まあ、あまり真面目なことを考えなくても、娯楽として楽しめるかと思います。

このシリーズで挙がった本を時々読んでみては、ポッドキャストを聞き返してみたりしているところです。

文学賞メッタ斬り! (ちくま文庫)

文学賞メッタ斬り! (ちくま文庫)

 

 

三体

その大森望氏が翻訳に関わっているSF小説が「三体」。

中国人作家 劉慈欣によるSFです。このところ中国人あるいは中国系作家のSFは注目されてますね。

ニュートン力学に三体問題というのがあるそうです。「三体人」が住む星系には3つの恒星があり、その動きは予測できません(三体問題)。その結果、三体人の惑星は灼熱地獄になったり、凍りついたり、あるいはいずれかの恒星に落ちる可能性があったりで、三体人は移住先を探していました。

そこへ地球から電波が届きます。文化大革命で親を殺され、自分も地方に流されて強制労働させられ、人類に絶望したある学者が、地球の位置を知らせる電波を発したのでした。

そこから、人類を滅ぼし地球へ侵略しようとする三体人と、三体人の優れた科学力に知恵で立ち向かう人類の戦いが始まります。

と書くと、全然目新しいテーマじゃないように思えますが、これでもかとアイディアをぶち込んで来て(SFファンなら「おバカSF」と呼ぶかもしれない)、怒涛の展開で読ませます。
あんまり魅力を伝えられていない気がしますが…とにかく読んでみてください。後悔はしません。

「巻を措く能わず」で寝不足になり、それについては後悔されるかもしれませんが。今年(2021年)に出るという「三体 III」が待ち遠しい。

三体

三体

 
三体Ⅱ 黒暗森林(上)

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

 
三体Ⅱ 黒暗森林(下)

三体Ⅱ 黒暗森林(下)

 

 

星系出雲の兵站

これも宇宙人との戦いの話。

「三体」もそうであるように、敵はどんな宇宙人なのか、読者には早々に明かされることが多いように思いますが、この作品では敵が何者なのか、しばらくわかりません。それを探るところから始まります。なので、こちらも敵の姿を知りたくて、これも「巻を措く能わず」になっちゃいます。

あと、この本の特徴的なところとしては、普段は前面に出て来ない兵站の話がいっぱい出て来る点ですね。ドンパチの前や裏で、ドンパチのために何が考えられ、行われているのか、おもしろかったです。

星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA)

星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA)

 
星系出雲の兵站2 (ハヤカワ文庫JA)

星系出雲の兵站2 (ハヤカワ文庫JA)

 
星系出雲の兵站 3 (ハヤカワ文庫JA)

星系出雲の兵站 3 (ハヤカワ文庫JA)

 
星系出雲の兵站 4 (ハヤカワ文庫JA)

星系出雲の兵站 4 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

あとは、「ゲームの王国」もよかったですね。
ポル・ポト派時代のカンボジアが主な舞台なのですが、小説の話からずれてしまうんですけど、昨今の一部政治家やそれを熱心に支持する人たちを見ていると、虐殺こそしないでしょうけど、ポル・ポト派文化大革命を思わせて、気味が悪いです。

ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA)

ゲームの王国 上 (ハヤカワ文庫JA)

 
ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA)

ゲームの王国 下 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

(つづく)