14:00頃、再びホテルを出て、遺跡へ行く。今度はカメラのみ持って出る。
ホテルの裏手のナツメヤシとオリーブの林を抜けて行く。向こうからいたいけな表情をした少年がやって来て、「カメラ、カメラ」と言う。撮ってあげたくなるが、こういうのは写真を撮って欲しいのではなく、お金が欲しいということが多い。今回も、適当に少年の相手をしつつ別の写真を撮っていると、やはり「バクシーシ」と言い出した。
バクシーシをあげるのか、あげるべきでないのか、悩ましい。「喜捨なんだから、あげてもいいんじゃない」と言う人もいれば、「働かなくなるから、あげない方がいい」と言う人もいる。
バールシャミン神殿から住宅地跡に入る。広い土地に月面のように岩が散らばり、所々まだ柱が立っている。地面を見て歩くと、まだ半分地中に埋もれた倒れた円柱があったり、風化しつつある装飾を施された破片、土器のかけらなんかが落ちている。
バールシャミンは豊穣をもたらす雨の神だったと思う。
それから葬祭殿、ディオクレティアン(ディオクレティアヌス)の城砦へ。
そして昨日と同じように丘を登り、城壁に座って昔に思いを馳せる。日の入りを待ちながら、ゆっくりと四面門、アゴラ、元老院、円形劇場と歩く。
また、墓の谷も見渡す。墓の谷には塔がたくさん建っている。それぞれの塔は「お墓のマンション」になっているそうだ。
1999年1月のある日