ぱらりーそーしー日記

タイトルに特に意味はありません。子どもの造語がかわいかったので、タイトルに使いました。本、子育て、映画、旅行等。たまにしか投稿しませんが…

ビザ待ちの一日 その1

Aさんが出て行ってから少し眠った。眠りが浅いのか、Iさんが出て行く前に目が覚めた。まだ暗い中、1人で彼を見送った。彼はこれからカイロへ飛ぶのだ。彼とはハマムへ行ったり、オリエント・ユースに行ったりしたなあ。

彼が発ってからもう一眠りして07:30頃に起きた。今日は早めに「お父さん」とその彼女Oさんと共に、シリアのビザを取りに行くのだ。宿のあるスルタン・アフメット地区から、バスの出るエミノニュまでは結構な距離がある。トラム沿いに歩いて行くのが近いのだけど、カップル+私という状況がちょっと居心地悪かった。

日本領事館では意外とあっさりとヨルダンのレターを出していた。ヨルダンは危険度2なのに。中東状勢はおさまりつつあるのかもしれない。

それからシリア領事館へ向かった。写真2枚、申請書2枚、パスポート、760万TL(約26$)が必要だ。質問欄には「宗教」なんてのもある。もし「信じてない」なんて書くと、どう受け取られるんだろうか。パレスチナへ行ったことがあるか、なんて質問もある。それらを提出すると、その日の14:30に出してくれる。

お父さん達と別れてシンガポール航空のオフィスへ行った。帰国のフライトを変更しようと思ったのだけど、都合のいい日は満席で、結局あきらめ、2週間以内でシリアを周ることにした。

それでもビザが出る14:30まではかなり時間がある。とりあえず昼ごはんでも食べようとイスティクラール通りへ向かったんだけど、ラマダンだからか時間が時間だからかロカンタには全然人がいない。これでは入りづらい。ごはんも食べぬまま、時間潰しに映画館に入ってみることにした。

「RONIN」というデ・ニーロとジャン・レノが出ている映画にした。学生なら100万TLだった。2階に上がるとロビーになっていて、構造は日本の映画館とほぼ同じだ。売店もあるけど、パンフレットは見なかった。

上映室に入るとライトを持ったおじさんがいて、チケットを渡すとライトで席を照らしてくれる。どうも好きなとこには座れないようだ。
映画はCMも予告編もなしに始まった。英語+トルコ語字幕だから、入り組んでそうなストーリーがさっぱりわからない。プジョー406やアウディS8(それともA8?)のカーチェイス・シーンを楽しむだけだ。
50分も上映された頃、突然映画が途切れて、灯りがついた。どうやらフィルム交換らしい。10分ほどで再開された。途中、映画の中でフィギュア・スケーターが氷の上を舞うシーンがあり、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」が使われていた。音楽のあまりの美しさ、憂いや悲しみや、それをふまえての優しさ、聴いていて涙が目に浮かんだ。

トルコの人達はエンド・クレジットが流れ始めると、たちまち出て行き、クレジットも途中でブチッと切られた。途中で立つのはまだしも、クレジット自体を止めるとは驚いた。

(つづく)

 

1998年12月のある日