トプカプ宮殿では、宮殿から望むマルマラ湾のながめが素晴らしかった。新市街側やシュレイマニエ・ジャミイが見える。
そんなテラスの上で、アンカラからアンカラ・エキスプレシで来たという中年の夫婦に会った。意外にも同郷の人で、少しばかりアンカラの感じなどの話を聞いた。
それにしても、フィルム・カメラだからフィルムをケチっていたというのはあるけど、トプカプ宮殿の写真は1枚も無しとはね。
さて、トプカプ宮殿を後にして、ガラタ橋へ向かう。
途中「地球の歩き方」に載っていたアヤソフィア・ホテルの前を通る。通りの反対からおじさん達が笑顔で手招きする。メシ屋だ。ちょうど歩き疲れて腹も減っていたので行ってみる。
近寄ってみると、一軒の店だと思ったのが別々の店で、客引き合戦に巻き込まれた。結局、年配のおじさん2人がやってる店で食べた。コッペパンほどの大きさのパンに野菜やケバブ(ドネル)を挟んだものだ。安くて(50万TL)、ボリュームがある。
ガラタ橋は思っていたような古めかしく趣のある橋(例えばポン・ヌフのような)ではなかった。ただの普通の橋だ。聞いていた通り、沢山の人が釣り糸を垂れていたが、鯖サンドも見なかったし、ミディエ・ドルマ売りも一人しかいなかった。トプカプ宮殿をはるかに臨めるのがよい。
その後、フェリー発着場や(お金がなくて上らなかったが)ガラタ塔へ行ってみた。ガラタ塔へ至る道は生活道路という感じだ。坂を登っていると、日本人(らしき)女性とすれ違った。
それから一度道に迷いながらホテルへ戻り、少し休んでからホテル・アヤソフィアへ行ってみる。
少し入りづらい感じだが、入ってみると兄チャンは英語を話して愛想も悪くなく、部屋もわりときれいで、シャワーもお湯が出る。日本人がよく来るらしく、ロビーには日本語のはり紙があった。明日はこのホテル、しかもドミトリー(6$、安い!)初体験をしてみよう。
まだ陽もあるし、夕方のブルーモスクを楽しもうとそちらへ向かう。途中、ツーリスト・オフィスの客引きにつかまる。今度は新手で、「日本の友人に電話したいから、その町の市外局番を教えてくれ」と言う。日本語と英語でしばらくしゃべった後、意外とあっさり引き下がった。イヤなときは一片の妥協の余地なくダメ!と言わねばならないのだ。
なんて思ってブルーモスクの方へ足を踏み出した途端、今度はFに会ってしまった。しつこくツーリスト・エージェンシーへ来いという。情報が必要だろうと言う。今は一人でそっとしておいて欲しいのだが。一人で夕暮れ時を楽しみたい。それに日本にいるときだって、旅行代理店なんてほとんど使ったことがない。多少高くつこうが、好きなようにやりたいのだ。
だがそんなことを伝える英語力もなく、結局“You don’t believe me.”などと言われ、半ばケンカ別れしてしまった。まあ、あくまで向こうは商売でやってることだから、こちらはむしろすっきりした。
気分直しにブルーモスクへ行き、その後、トラム沿いでレストランを探す。
このトラムは、道の真ん中に路面電車が複線で走っている。その両側を車が走り、人はそれらの間をぬうように横断するのだが、トラムやパトカーが容赦なく突っ込んできて、結構スリリングだ。
今日は昨日とは違う店で食べる。店を選ぶ基準は2つだ。一つはトルコ人が何人か食事をしていること。これはぼったくりに遭わないように。もう一つは言葉がだめでも料理を決められる店だ。窓際や店内に料理を入れたトレイがたくさん並んでいて、中に入って料理を指せばいい(このタイプの店をロカンタという)。
ここでは昨日の店ほど油っこくなく、ライス+1品+水で125万TLだった。勘定しようとすると、500万TLしかなく、持ってる札を店のおじさんに見せると、510万TLを取って、“O.K., O.K.”と言いながら、400万TLを返してくれた。また桁の大きさに感覚が狂い、「ん?何が起こった?大丈夫?」と思ったが、まけてくれたのだ。店の入り口でやっと合点がいき、振り返って「テシェッキュレ」(ありがとう)と言うと、嬉しそうに笑って手を振ってくれた。
私も、帰国して日本で外国人に会ったら、親切にしよう。