ぱらりーそーしー日記

タイトルに特に意味はありません。子どもの造語がかわいかったので、タイトルに使いました。本、子育て、映画、旅行等。たまにしか投稿しませんが…

ボアズカレ(ハットゥシャシュ)へ

 とうとう12月。もう出発から20日間、つまり旅の予定期間の1/3が終わったかと思うと早い気もするけど、これからクリスマスも正月も海外で過ごすと思うと、先は長い気もする。

 09:30のLiderのバスでまずスングルルへ向かう。思ってたより少し時間がかかり、「実は通り過ぎてるんじゃあ…」と思い始めた頃、スングルルへ入った。
 そんな焦りからか、降りる必要もないガソリン・スタンド前でつい他のトルコ人乗客達につられて降りてしまった。おかげでセントルム(街の中心部)まで1kmほど歩くことになった。

 スングルルの街で何人かに道を尋ねながら、ボアズカレ行きのドルムシュを探し当てる。15万TL(約0.5$)だった。
 客が集まるのを待ってるのか、なかなかドルムシュは出発せず、気が焦る。ガイドを見る限りでは、ハットゥシャシュの遺跡は結構広いからだ。アンカラに帰れなくなっては困る。
 結局13:00頃にドルムシュは出発し、13:30頃にボアズカレへ着いた。シーズン・オフでなかなか金をばらまく客がいないからか、ドルムシュの運転手からタクシーの運転手からたくさんの運転手が群がって来る。そういうのを振り切って、遺跡へ向かう。

 遺跡でも白タクみたいなのやら、石の彫り物を売りつけようとする人達やらに囲まれる。地味と言えば地味だけど、岩の多い荒れた土地の中に遺跡が点在する風景はなかなかいいから、ゆっくり楽しみたいのになあ。ほっといて欲しいものだ。

 大方の人達は50mほど歩いた後、去って行ったけど、一人がどこまでもついて来る。「ガイドはいらない」と言うと、「自分はガイドではない」と言いつつ、ずっとついて来る。いろいろと遺跡について説明してくれるので、後で金を要求しても知らないよと思いつつ、放っておくことにした。彼は夏場は考古学の発掘をここでやってるらしく、なかなか詳しく説明してくれる。話しながら雑談もしたりして、彼がいてもそれなりに楽しめるようになってきた。しかしなぁ…なんとなくゲームみたいだ。ある程度までは許すが、一定のライン以上は断固Noという。

 遺跡を一回りしているうちにだんだんと薄暗く、16:00になった。彼の話ではスングルル行き最終便は17:00くらいらしいけど、だんだんとまた気が落ち着かなくなって来る。もしやこの人、何かを売ろうってんじゃなく、泊まらせようとしているのではないか、とか。そんなこと考え出したらキリがないんだけど。

 説明を続ける彼を急かし、はやくセントルムへ行こうと言うと、歩きつつもだんだんお金の話に持って行き始めた。
 やはりか。最初は「タクシーなんか必要ないからやめとけ」みたいなことを言ってたけど、やっぱり裏があった。どうやら自分のハンド・メイドの彫り石を売りたいようだ。石のレリーフには正直言って魅かれるものはあったけど、そうすんなり買う気にはなれない。首を振り続けてると、家に来てと言う。発掘しててみつけたローマのコインと楔形文字の入った粘土板を買わないかと言うのだ。これにもかなり魅かれたけど、100$は無理だ。必死で食い下がる彼を振り切ってバス乗り場へ向かった。チップ代わりに手製の彫り石くらいは買ってあげてもよかったかもしれない。どちらにしても後味がよくない。

 幸いにしてバスの最終便が17:00だという彼の言葉はウソではなかったようだ。そのバスでスングルルへ向かい、18:30のアンカラ行きをつかまえることができた。一安心だ。結局、オトガルでブルサ行きのチケットを取ってからホテルへ戻ったのは22:30頃だった。大変な一日だった。

 

1998年12月のある日