高校に入ると、吹奏楽部はやめて、帰宅部になっちゃいました。もう部活は懲りてしまって。
設立から数年の新しい中学校で、先輩から後輩へと受け継がれていく指導の体系もできておらず、顧問の先生は音楽を専門とするわけでもありませんでした。なので、そういった人達自身困ってはいたのでしょうが、基本的には「ちゃんと吹け」みたいな指導で、私も困っていました。
どうやったらちゃんと吹けるかを教えてくれないと、こちらはどうしようもありません。ちゃんと吹ける方法がわかっていたら、ちゃんと吹いてるんですから。個人レッスンを受けるなんて考えも当時の自分にはありませんでしたし。
音楽の魅力によって何とか続けましたが、下手したら部活のせいで音楽嫌いになっていたかもしれません。危ないところでした。
高校ではクラシック音楽を少しは聴いているという同級生がいて、彼の勧めで交響曲を聴き始めました。
よく聴いていた覚えがあるのは、チャイコフスキーの交響曲第5番です。この録音ではなかったけど。
それまで聴いて来たクラシック音楽の作品にはタイトルがついていました。「軽騎兵序曲」とか、「動物の謝肉祭」とか。なので、聴いていて、その場面とか描いている対象を想像しやすかったのです。
でも、この交響曲には曲の内容を示すタイトルは付いていません。だから具体的に何かを描いているわけではないし、言葉で表現もできないのですが、にもかかわらず圧倒されたり魅了されたりして心に深く入って来るという経験をしたのでした。
指揮者のフルトヴェングラーの言葉に「音楽は詩とは違う世界を創造する」といったような言葉があったと思いますが、そんな感じなのかな。
余談ですが、もしこの曲を演奏会で初めて聴くということがありましたら、4楽章は要注意ですよ。ジャンと来て終わったと思って拍手したら、間を置いて実はまだコーダが続きますから。
でも、「そういうのがあるからクラシックの演奏会はイヤなんだよ」とか思わないでいいですよ。アマチュアですがオーケストラで演奏していた側からしますと、この曲のあそこで拍手があるというのは、慣れてますから。むしろ、拍手がなかったら物足りないかも。(それはさすがに言い過ぎかな)
とにかく恐れずコンサートに出かけてみてください。そこで人が演奏している姿、オーケストラの音圧など生演奏に勝るものはありません。