ぱらりーそーしー日記

タイトルに特に意味はありません。子どもの造語がかわいかったので、タイトルに使いました。本、子育て、映画、旅行等。たまにしか投稿しませんが…

2023年に読んでよかった本

明けましておめでとうございます。

ウクライナパレスチナ、国内の格差拡大とか、そして何と言っても今日の地震により、晴れやかな心で「おめでとう」と言いづらい気持ちもありはしますが
まあ、だからといって立ち尽くすのではなくて、小さくても何かできることをやって、いい方向へにじり寄って行かないといけませんね。

さて、12月はあまり読んでないので(既に紹介した「ドラゴンランス 夏の炎の竜」の中巻・下巻くらい)、12月に読んでよかった本はパスし、2023年のまとめに移ります。

2023年に読んでよかった本(2023年に出た本ではありません)の中から15作を抜き出してみました。
順位付けはそんなの無理なのでやってませんし、キリのいい10作に減らすのも面倒だからやめました。

 

SF

私なんぞがSFについて一端の口をきくのは憚られますが、SFについては早川書房東京創元社だけじゃなくて、竹書房もチェックしておかないといけないなと思った年でした。

 

読んだのはこの版です。以前の版の中古がAmazonでとんでもない価格になっているので、新版が出て助かりました。旧版の表紙絵も好きなんですけどね。

今年公開のヴィルヌーヴDUNE 2が楽しみです。

 

だいぶ前のヒット作ですが、地球温暖化の影響が感じられるこの頃、また読まれるべき作品かなと思います。

 

これはとてもよかったです。紙の本でも買おうと思いつつまだ買ってなかったので、本屋に行かなくちゃ。高らかに歌われる新しい時代の歌に力づけられます。これも竹書房です。

 

ミステリー

作者は自然に関わる仕事をしていたらしく、自然描写が美しかったです。もちろんミステリーとしてもおもしろいし、当時のアメリカ南部の感じも(直接はもちろん知らないけど)よく伝わって来ます。

 

この作品はミステリーに入れていいのかわかりませんが…ミステリーでもありファンタジーでもあるような、本とそれを取り巻く人々を描いた大河ドラマの完結編です。とにかくいいから読んでみて、という作品です。バルセロナに行ってみたい。1冊だけ選べと言われたら、これですね。

 

ノン・フィクション

ノン・フィクションですが、まるで映画を見ているような読み心地でした。次に新たな感染症が来た時(新型コロナもまだまだ多いですが)、ちゃんと対応できるんでしょうか、特に日本政府は。

 

マンガ

瑞々しい青春の話。たとえ年老いていたとしても。

 

完結しました。幸せな博物学者(自然科学者)の話です。

 

つぼに入った楽しい作品の2巻目です。つぼと言っても、去年話題になったあっちの壺じゃありません。(わかっとるわ)

 

こちらも完結。主役も脇役も裏方も一緒に何かいいものを作り上げて行くというのは素晴らしい経験です。

 

歴史改変SFSF?)のお話としてもおもしろく、現代の男女不平等などの問題についても考えさせられます。

 

文学

怖いけど希望もある話でした。コーマック・マッカーシーは初めて読みましたが、好きな作家の一人になりそうな予感がします。

 

ファンタジー

ドラゴンランス戦記」に匹敵する壮大な物語でした。

 

クリスマスの思い出

もうクリスマスも済んでしまいましたが…両親がクリスチャン(プロテスタント)だったので、クリスマスは特に大事なイベントでした。

両親が教会の礼拝に出ている間、子ども達は別の部屋で、子守りを兼ねた教会学校に参加していて、クリスマスが近づくと子ども達による聖誕劇の練習が始まります。クリスマス礼拝後のクリスマス会で披露するということで。

右側奥に見えるのが聖誕教会(ベツレヘム

ま、嫌でしたけどね、内気な子だったのもあって。そんな具合だったので、毎年、配役は博士のうちの一人とか羊飼いのうちの一人とか、「◯◯の一人」ばかりでした。ヨセフとかじゃなくてほんとよかった。
もちろんその頃は、将来自分がベツレヘムパレスチナ ヨルダン川西岸地区)の、イエスが生まれた場所とされる聖誕教会に行くことになるとは思いもしません。

夜にはキャロリングをやったこともあります。キャンドルを灯して、教会メンバーの家に行き、外で讃美歌などを歌います。

クリスマスの音楽といえば、家にはレコードと大きなプレイヤーがあり、そこでビング・クロスビーナット・キング・コールなどの歌が流れていました。

クリスマス・ソングには今でも名曲が多いと思いますが、私にとっては、子ども時代の幸せな記憶と結びついたこういった歌が最高です。クリスマス・ソングには名曲が多いような気がしますが、なんででしょうね。人の幸せを願うから?

そして、クリスマスの朝になると、不思議なことに、サンタさんにお願いしていたものが、ちゃんとクリスマス・ツリー(家庭用の小さいやつ)の周りに置かれているのでした。
靴下には、日本語が全く書かれていない外国のお菓子が詰まっています。お菓子については、親がわざわざ輸入菓子を探して買って来たのでしょう。

という経験をして来たので、クリスチャンじゃありませんが、それでもやはりクリスマスは特に大事なイベントです。当時とは立場は違うわけですが。

そして確かにサンタクロースはいるのです。

2023年11月に読んでよかった本

ようやくゴールが見えて来ました。これを載せたら、あとは12月を載せるのみ。年間の振り返りもしたいところではありますが。
日頃から読書ノートをつけておくといいかもしれないなと思いました。なかなかできませんけどね…

 

カルロス・ルイス・サフォンによる「忘れられた本の墓場」シリーズの完結編です。
第3作の「天国の囚人」を読み終わった後、この第4作があることを知り、早く翻訳・出版されることを望みながら時折チェックしていたもののいつしかそれも忘れ、今年になってようやくこの第4作が出ていたことを知ったような次第。お恥ずかしい。
この作品はミステリーでもありますし、古書店を営む父を持つ少年ダニエル・センペーレや「忘れられた本の墓場」を軸にした大河ドラマでもあります。

本を巡る物語、魅力的な登場人物(フェルミンとか)、忘れられた本の墓場のようなファンタジー的なところ、スペインの暗い時代…と魅力に事欠かないとても好きなシリーズです。
が、サフォンは2020年に55歳で亡くなったので、もう作品は読めません。

集英社は特設ページも作っています。

bunko.shueisha.co.jp

 

最初のシリーズ「ドラゴンランス戦記」を読んだのは、高校生くらいだったような。富士見書房から出ていた文庫本で、表紙の肩にホログラムのドラゴンの紋章があり、これがかっこよかったです。

いや、それより前にドラゴンランスとの出会いはありました。たぶん「ウェイレスの大魔術師」がほんとの最初です。まだドラゴンランスのことを知らないうちにこのゲームブックをやってみて、「何だかよくわからない話だし、そんな終わり方するの?だし…」とちょっと不満を覚えた記憶があります。その次はドラゴンランス・カードゲームだったような。これはおもしろかった。

というように、ドラゴンランスを知らないうちにあれこれやって、最後にドラゴンランス戦記をようやく読んで、プレイしていたゲームの内容に合点がいったという感じです。

そんな長い付き合いなので、付き合いだからとさほど気乗りするわけでもなく読み始めたこの「夏の炎の竜」ですが、これがよかった。ファンや作者がドラゴンランスの世界に未練があり、半ば懐かしむために書かれたなんてものでは全然なくて、戦記に匹敵するような壮大な話でした。登場人物の中心は戦記の英雄たち(タニスとか)の子世代ですが、少し年老いたタニス達世代も出て来ますよ。

 

NHKドラマ「大奥」をまず見て、これがよかったので、それから原作を読み始めました。
マンガの「大奥」が話題になった頃は、徳川幕府の大奥で(一般社会でも)男と女が入れ替わる、つまり将軍は女で大奥に大勢いるのは男という設定に「なんだ、そりゃ」と思って読まなかったのですが、今、その不明を恥じています。

「えっ?」と思うSF的ともいえる設定には、ちゃんと訳があったのでした。男と女を入れ替えることで、現在の男女平等やジェンダーフリーといった問題が鮮やかに浮かび上がって来ます。
といっても堅苦しい内容ではなく、物語としてもおもしろく、またエモーショナルだったりもします。

「あんた、今頃、何言ってるの?『大奥』がいいことくらい、とっくに知ってるわ」という話かと思いますが、まだの方はぜひご一読ください。

2023年10月に読んでよかった本

10月に読んで印象に残った本をご紹介します。

例えば冬木糸一さんのブログ「基本読書」とか、ぬまがさわたりさんのブログ「沼の見える街」とか、はたまた最近フォローした本猿さんのブログ「書に耽る猿たち」とか、みなさん、きちんと、しっかり調べたり考えたりして、長く、熱量を持って作品を紹介しておられるのを見ると、自分のブログに意味はあるかと思うこともあるけど、それはいいんです。自分のためのメモとして書いているようなところもあり、それがもしかしたら誰かの参考になることがあればそれはそれでラッキーというくらいの感じで書いているので。

なんか自分を慰めてるみたいですけど。

まあ、きちんと書くに越したことはないんですけどね。「へえ、おもしろそうだな、読んでみるか」と思って欲しいわけですから。

 

零と二海堂を対局を中心とした巻で、零も二海堂もキャッキャッしながら、すっかり何かを取り戻した感じ。毎巻のことながら優しい物語で、落ち着く。

 

アメリカはすっかり荒廃しきり、無政府状態で「北斗の拳」「マッドマックス」的な、いやもっとエグい状況になっている。SF的な設定だけど、SFではないので、そうなった理由は書かれない。

そこを食べ物などを求めつつ旅する二人の親子。獣のようになってしまった人間達から逃れつつ、獣にならないという矜持を持って歩き続ける父子はどうなるのか。

コーマック・マッカーシーは有名な作家だけど、読むのは初めて。乾いた感じの文章が乾いていないものを感じさせ、哲学的な感じも。

例えばこんな作家・作品紹介もありました。

realsound.jp

 

圧倒的な科学技術力を持つ異星人連合に支配されている地球。連合にとって商売になるものを持たない後進惑星の地球は、使い捨て兵士の供給源になっている。使い捨て地球人部隊はなぜか「ヤキトリ」と呼ばれている。徴募係のロシア人によって見出された日本人青年は、他国から集められたメンバーとともに特別な班に入り、戦闘を潜り抜けて行く。ロシア人徴募係にはそれなりの思惑があり…

例えばパトレイバーとか「窓際のスパイ」とか、ダメそうなメンバーがダメなままで、ダメそうだが実は切れ者のリーダーとともに活躍するという話は好きなので、この作品も(それとは少し違うかもしれないけど)楽しいです。

tv.apple.com

アニメ化もされています。まだ1巻しか読んでいませんが、アニメではその先も描かれていて、ヤキトリが降下した惑星での現住種族との戦いも出て来ます。そのシーンは(今となってはイスラエルパレスチナも想起させ)見ていて結構辛かったんですが、そのあたり原作ではどう書かれているのか気になります。

2023年9月に読んでよかった本

2023年9月に読んでよかった本のご紹介です。
いつも書いていますが、9月に出版された本の紹介ではありません。あくまで、私がたまたまこの時に読んだ本の中から、気に入ったものをご紹介しています。

はたして年内に今年分を載せられるのか?

出版社のマンガ雑誌編集部を軸にして、編集者、作家、書店員、印刷所…と本に関わる様々な人々を描いて来た物語がついに完結。あたたかい物語でした。

出版に限らず、パフォーミング・アーツとか映画とか創作に関わる人には多かれ少なかれこの作品に描かれているような思いがあるんじゃないかなあ。そういった人への応援・励ましにもなっていると思います。

「三体」シリーズの前日譚。といっても、同じ登場人物も出て来ますが、直接的に繋がっているわけではありません。そういう点では、前日譚なのでこの作品の方が「三体」3部作より時間的に前ですが、先に「三体」を読んだ方が楽しめるような気がします。

「三体」同様、「なんだ、そりゃ」な発想に始まって、科学者が仮説と検証を繰り返すという科学のプロセスを経て、壮大なスケールの事実が判明すると同時に情緒もしっかりという劉慈欣節がおもしろく、これも寝不足の原因になったのでした。

SF書評家(という紹介でいいのかな?)の冬木糸一さんのブログも、よかったら読んでみてください。
《三体》三部作の前日譚にして科学と兵器開発の関係をテーマに据え壮大なスケール性を持ったSF長篇──『三体0 球状閃電』
http://huyukiitoichi.hatenadiary.jp/entry/2022/12/31/080000

オペラに特に歌いもしない役で出たことがあるのですが、その時の演出家の方の姿勢や仰っていたことを思い出しました。
作品をとことん突き詰める姿勢とか、「何かを表現しようと思っているだけではだめで、それをお客様に伝えるにはどう体を動かすべきかを考えないといけない」「お金を払って夢を見に来ているお客様に現実を見せることは許されない」といったようなことです。
この巻も、そういったことを思い出しながら、胸が熱くなりました。