ぱらりーそーしー日記

タイトルに特に意味はありません。子どもの造語がかわいかったので、タイトルに使いました。本、子育て、映画、旅行等。たまにしか投稿しませんが…

スメラ僧院へ行く

 朝はパンとミネラル・ウォーターで済ます。外へ出てみると、嬉しいことに久しぶりの晴れ間だった。
 スメラ僧院へは、Ulusoyのミニバスがメイダン公園近くから出ている。200万TLで、ちと高い。

 1時間ほどでスメラへ行く。
 途中、ちょっとした村の商店街で昼食を買ってからスメラ僧院へ向かう。その村では、ちょっとした軍事パレードのようなものをやっていた。

 スメラ僧院は、昔、イスラム時代に、キリスト教徒が迫害を恐れて山奥に築いた修道院だという。なので、スメラ僧院ツアーとはすなわち登山だ。Ulusoyのミニバスは登山口までで帰って行く。英語を話すガイドもだ。

 またもや雨がぱらつき始めていたが(もう雨恐怖症だ)、トルコに入って初めての山登りはとても気持ちがいい。
 山の地面の感じも、生えている木も、日本と見た感じはあまり変わらない。強いて違いを挙げれば、森林限界らしきラインがいきなり始まることくらいか。山頂付近は岩が多い。

 大して歩かないうちに、スメラ僧院が頭上に見えてきた。岩肌にへばりついている。よくあんなとこに築いたもんだ。

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スメラ僧院

 僧院入り口に着いてみて驚いた。たった15分しか遺跡内にいられないのだ。そこでチャイでも飲みながら一息入れ、それから見学することにした。

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スメラ僧院

 スメラ僧院はトルコに入って初めて見る遺跡らしい遺跡だった。あちこち壁が崩れ落ち、これぞ遺跡という風情だ。

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スメラ僧院

 

 岩壁に覆いかぶさられるようにして廃墟があり、部分的に残った外壁がそれらを守っている。ドームの中のフレスコ画も独特だ。キリスト教の寺院のはずなのに、天井から見下ろしているのはブッダ風の画である。この遺跡で惜しむらくは落書きの多さだ。フレスコ画ビザンチン時代のものだとかいうのに、容赦なくキズで落書きがしてある。自国の文化遺産にこんなことをするとは…

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スメラ僧院

 帰りはなだらかな林道をゆっくり降りてきた。山の中に本当に小さくへばりついていて、当時のキリスト教徒の苦労が偲ばれる。

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スメラ僧院遠景

 このスメラ行きでは、一人の韓国人青年と一緒だった。彼は大学で経済を勉強した後、株の会社に勤めていたが、韓国を襲った経済危機の時に失業することになったという。それから、シリア、ヨルダン、イスラエル等を旅して来たそうだ。同じ外国人と英語で話すのでも、アングロサクソン系等の人と話すより楽に話せる。

 帰りは迎えのミニバスを途中で降りて、ロシアン・バザールをみんなで見に行った。30Binの入場料を取られたが、ここはあまり大したことがない。ここでは傘だけを買った。「だけ」とは言っても、念願の傘だ。59万TLだった。70万TLにまけてもらったのだが、小銭の持ち合わせがなくこうなってしまって、ちょっとすまない気になった。

 夜は一人でごはんを食べ(魚は昨日の店よりまずく、しかも高い)、そして、今はホテルの1階の喫茶用スペースのようなとこで日記を書いている。顔見知りのおじさん,おばさん達が夜になると集まって来て、チャイを飲みながらTVを見ている。地方でよく見た光景だ。写真の一枚も撮りたいけど、ちょっと気が咎める。

 明日は買い物(ブーツと上着)をして、内陸へ向かうつもりだ。

 

1998年11月のある日