毎年末に、その年に読んでよかった本(その年に出版された本、ではない)を振り返っているんですが、年末の落ち着かない時に書くのも大変だし、年を越してしまうこともしばしばなので、今年は3ヶ月毎に振り返ってみることにしました。
あっさり忘れて、また年末に「やべっ」となっているかもしれませんが。「やべっ」も何も、元々ほとんど誰からも求められちゃいねーよ、って話ではあるんですけどね。
というわけで、まず1月です。
このところSFばかり読んでいるので、ミステリーを読むのは久しぶりです。フーダニットのミステリーになるのかと思いますが、謎解きが本の根幹ではないので、どうしてもジャンル分けするとすれば、文学になるのかもしれません。
ある日、干潟で、地元の青年(名士の息子だったかな)が櫓から落ちて死んでいるのが発見されます。殺人とみなされ、犯人として捕えられたのは、子どもの頃に親に捨てられ一人で育った女性カイアでした。
カイアが裁かれつつある現在と、カイアの少女時代という過去が交互に章立てされ、カイアがどのように育って来たかが明らかにされます。
孤独なカイアの唯一の友達とも言えるのは自然なのですが、その自然描写が素晴らしいです。時にカイアの心情を表すように、時に自然それ自体を描いて。作者は動物生態学者だったそうですが、さもありなんで、これは自然をよく見てる人じゃないと書けないなと感じました。
その時代のアメリカ南部の描写も興味深いです。差別される側である黒人のジャンピンは、偏見なく、さりげなくカイアが一人で生きていくのを支えます。ジャンピンは実にいい登場人物でした。
よい香りのする文学作品で、もうこれが私の今年のベストかなと思えたくらいです。
高校生の頃、同級生とTRPGをやったりしていて、その中で「ドラゴンランス戦記」も熱中して読みました。富士見書房から出ていた文庫本です。表紙にたしかドラゴンのホログラムが付いていて、かっこよかったな。
ドラゴンランスのカードゲームもあって、よく高校でやってました。(あかんやろ) ゲームと言えば、レイストリンとキャラモンの双子兄弟が主役のゲームブックもありました。小説を読む前だったので、変わったエンディングだなあと思ったものでした。
さて、この「ドラゴンランス伝説」は「戦記」の後日譚。あの戦争の後、キャラモンはすっかりダメ男になっていたのですが、双子の弟レイストリンの遠大な計画に望まずして巻き込まれ、再び冒険の旅に出ることになります。時に時空を超えて。懐かしの面々も出て来ますよ。
自分の中では「戦記」で終わったものという感じで、しばらくドラゴンランス・シリーズを読んでいませんでした。が、「版権が…」という話を耳にして、とりあえず買っておこうと慌てて買ったものです。なので、そんなに気を入れて読み始めたわけでもなかったのですが、複雑なキャラクターであるレイストリンの最後のあの行動は感慨深いものがありました。
何の因果か地縁も血縁もないのにPTA役員になってしまい、あらためて考えるとそもそもPTAのことをよく知らないかもと思って読み始めた本のうちの一冊です。
うちの学校はPTA活動はきつくなく、基本的にはうまく行ってると思います。なので、この本に書かれているような大きな改革は必要ないでしょう。が、PTAの肝みたいなところは勉強になりました。いろんな工夫も参考になります。
PTAについては、岡田憲治「政治学者、PTA会長になる」もおすすめです。PTAは何のためにやっているのかを確認し、メンバーがやりやすいようにして行くという点で、少なくとも私の置かれている状況ではこの本(「政治学者〜」)の方が合いました。