ぱらりーそーしー日記

タイトルに特に意味はありません。子どもの造語がかわいかったので、タイトルに使いました。本、子育て、映画、旅行等。たまにしか投稿しませんが…

2023年4月に読んでよかった本 デューン編

4月に読んでよかった本は何冊かあるのですが、今回は「デューン 砂漠の救世主」のみご紹介します。

デューン 砂漠の救世主」の新訳版が出ると早川書房Twitterで知り、発売日に本屋へ突撃しました。

まあ、だいたい何でも発売日の翌日に店頭に並ぶ地域なので、案の定なかったのですが。

早く読みたくて気が急くので、「どうせ取り寄せを頼んでも入荷は2週間後とか言われるんだろうなあ」と思いつつもダメ元で店員さんに聞いてみたら、なんと5日後に入るとか。Amazonとかe-honとかで買うことになるかと思いましたが、この本屋で即、注文しました。

「DUNE」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のおかげですね、「救世主」が新訳で出たのは。今年11月公開の「DUNE Part2」が当たれば、「救世主」も映画化する話もあるみたいですし。

もちろん早川書房にも足を向けて寝られません。これに続いて、「砂丘の子供たち」も出してくれるようですから。

さて、その「砂漠の救世主」は「デューン 砂の惑星」の続編です。

砂の惑星」がダイナミックな陰謀劇、復讐劇、貴種流離譚であり、派手な戦闘シーンやサンドワーム(砂虫)もあったのに比べると、この「救世主」はだいぶ地味かもしれません。

「救世主」は「砂の惑星」でポールが勝利をおさめてから12年後の話。当初のポールの思惑を離れ、宇宙では聖戦が荒れ狂い多くの人が死に、宇宙ギルドやベネ・ゲセリットなどの旧勢力はポールを倒すべく謀り、フレーメンの中にも叛逆の兆しが。

地味なんですけど、この「救世主」にこそ前期デューンの真髄があるんじゃないかという気がします。

ポールはクイサッツ・ハデラックになり未来が見えるようになったのですが、それはいいこととはとても言えなくて、ポールはむしろ苦しむことになります。

いくつか見える未来の道のうち、これ以上ジハードが宇宙に広がらないようにするためには、アトレイデス家に災いがないようにするためには、人類にマシな未来を用意するためには、細く辛い道を辿るしかないことがわかっているからです。

旧約版を読んでいて結末は知っていましたから、この新訳版を読む経験は、まるで既に知っている避けられない未来へ向かって行くポールと同じ経験をしているかのようでした。

人類のために苦しい道を選ぶというのは、キリストの磔刑を想起させますね。

これはネタバレ的になってしまうのですみませんが、辛い道を辿ることになったポール・アトレイデスではあるものの、最後はポールの尊厳は侵されず、役目を無事に果たすことができて、ハッピーエンドとも言えるのではないかと思います。

お疲れさま、ポール、ゆっくり休んで。